東京都内でグランドピアノが弾ける賃貸を探すのに苦労した話
ピアニストと同居するにあたり、グランドピアノを弾ける物件へ引っ越すことが必要となった。
東京都内でそもそも楽器可の物件の数が少ないなか、やっと見つけたと思った物件が、様々な理由で入居に至らず苦労したことを記載しようと思う。
物件探しの方針
条件のすり合わせ
エンジニアだからというわけではないが、いきなり物件探しを行うのでなく、上流工程にあたる実現したい生活を定義し、必要な物件の要件を定めることにした。
実現したい生活 | 物件に求める条件 |
---|---|
通勤が便利 | 東京都中心部近く |
周囲に気を遣わずピアノが弾ける | 楽器演奏可能、できれば24h |
お互い生活時間が違ってもストレスが少ない | 1LDKより2DKなど2部屋 |
適度に一人のスペースが確保される | 1LDKより2DKなど2部屋、40平米以上 |
無理のない家賃 | 2人の家賃の今の家賃から計算 |
ホワイトモダンなインテリアに囲まれたいとか、近所のお店が充実などいろいろあげたけれど、優先度が高くしたのはこんなところだった。
ひとりスペースの重要性は一人暮らしの長い自分は見落としていた点だった。
妻の仕事は複数個所でピアノ指導を行うことであるが、基本的に指導時間に対して給料が発生するので、移動時間が増えると指導に充てられる時間が減る。
残業もないが、早く終わらせて帰るなどない。
家賃を下げる最良の方法は場所であるが、移動時間を減らす方が受ける仕事も増やせて収入も増やせるはずという、安易な計算で場所を重視することにした。
物件探し
マンションで楽器を演奏するとどのくらい音が聞こえるのか全然想像がつかなかった。
割安な物件に入居したものの近隣とのトラブルで全然弾けない、といった未知のトラブルを避けたかったので、知見のありそうな音楽向け不動産サイトを中心に探した。
キャッシュバックなどの特典が多い不動産サイトで少しでも節約したかったが、はじめてのことでなので割高でも安全性をとることにした。
ある程度想像していたが、物件一覧をみるだけで自分たちの希望条件をかなえることはだいぶ厳しいことがわかった。
- そもそも物件が少なく、駅や路線を決めて
から選ぶということができない - 音大のあるエリアに物件が多い
- 防音設備の分だけ家賃も高い
- シングル向けも多くないが、2人向けはさらに少ない
妻と手分けして物件探しを開始した。
よさそうな物件が見つかり次第、お互いにいちいち確認せずにどんどん問い合わせを行い、slackの引っ越し用チャンネルに物件のリンクをどんどん貼っていくフローで進めた。
物件問い合わせを行った後のこと
楽器可さえクリアできれば住めると思っていたが、全然そんなことはなかった。
楽器可物件でもグランドピアノはNG
アップライトピアノはOKだが、グランドピアノはNGといわれることが多かった。
主に音楽向けでない普通の不動産で楽器可物件を見つけた際に多かった。
明確な理由はよくわからないケースが多かったが、
- アップライトより音量が大きい
- 趣味程度でなく本格的に弾くと思われ身構えられる
などの理由だと思われる。
グランドピアノ可でも床が重さに耐えられない
物件が見つからないので戸建て賃貸も視野にいれて探した。
世田谷区という好立地で、二世代住宅の一部を貸し出している物件を見つけた。
オーナーからも演奏OKの許可が取れ、近隣住民への説明もオーナーが行ってくれるという。
音楽好きということもあり、神のような対応。
ところが木造の床がピアノの重さに耐えられない可能性があることが判明。
グランドピアノにもいくつかサイズがあり、
C1サイズ:奥行150cm・300kg ~ C7サイズ:230cm・400kg
のように開きがある。
グランドピアノといわれると学校にある大きなものをイメージするが、妻のグランドピアノは一回り小さい。
重さを調べて施工会社に確認したところ、NGとなった。
ネットで調べる限り、本当に床が抜けた事例は見つからなかったが、床が抜けるかもしれない恐怖で生活するのはつらい。
グランドピアノOKで荷重もOKでも搬入できない
品川区という好立地で、
- 楽器演奏可でグランドピアノもOK
- 鉄筋コンクリートで床も問題なし
- 築年数がたっており外観や共用廊下はだいぶ古いが、ドアを開けたら内装リフォーム済みですごくきれい
という物件を見つけた。
問題だったのは、エレベータはなく階段だった点。
休日を内覧に費やすのも疲れてきたのでそろそろ決めたいところであった。
簡単にあきらめきれず、窓からクレーンでの搬入を考えることにした。
運送費用は追加でかかるが、初期費用が安い物件だったので帳尻を合わせることができそうであった。
マンションの窓の近くに電柱があり、作業ができるか微妙な距離であったため、共立ラインサービス、東京ピアノ運送などに事前の下見を相談した。
が、結果はNG。
電線に防護管というものを設置すれば作業可能ということであった。
防護管というものは初めて知ったが、費用の概算が東京電力パワーグリッドの資料に公開されていた。
搬入費用がかなり多くかかることになり、あきらめた。
グランドピアノを家に置かない選択肢の検討
グランドピアノ弾ける物件が少ないことがわかったので代替案も検討した。
電子ピアノでの代用
タッチや音の違いにより却下された。
趣味でなくて仕事ならしょうがない。
アップライトピアノでの代用
電子ピアノと同じ理由で却下となった。
スタジオの利用
練習頻度を考えると、自宅の方が安かった。 やはり趣味と仕事は違う。
勤務先のピアノの利用
勤務先の近くに住み、勤務先のピアノを利用することも検討した。
が、勤務先近くの物件が高くて条件に合うものがなかった。
結果的にはグランドピアノを持ったまま物件を探し続けることにした。
最終的に
だめもとで空室待ちをしていた音楽向け防音物件に、奇跡的なタイミングで空きがでた。
いろいろと苦労したけれど最後はあっけなく見つかった。
完全防音ではないが、全然問題なく快適である。
めでたしめでたし。
次の引っ越しのためにまとめ。
- 楽器可能物件でもグランドピアノ可能とは限らないのでよく確認する
- 防音であっても床の耐荷重に気を付ける
- 搬入経路も確認する